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2015.01.06 ( Tue )

特定看護師(仮称)から「特定行為に係る看護師の研修制度」へ変わる


認定看護師試験に挑む看護師

医師の包括的指示の下、特定の医行為を実施できる看護師を育成する「特定行為に係る看護師の研修制度」が今後、法制化される見通しとなりました。

平成26年2月12日に閣議決定が行われ「特定行為に係る看護師の研修制度」が保健師助産師看護師法の一部改正として、法制化する方向での道筋ができました。

厚生労働大臣が指定した研修・実習機関で指定研修を修了・評価された人は厚生労働省に申請し、登録証を交付されることが検討されています。2014年の通常国会を経て法制化されると、制度実現に向けて具体的な動きが加速しています。

多くの看護師が「特定看護師(特定行為に係る看護師の研修制度)に興味がある」と関心を寄せているアンケート結果も出ています。

「特定行為に係る看護師の研修制度」は、3つの柱からなる

日本看護連盟 草間朋子(くさま・ともこ)会長の発表から

「特定看護師(仮称と創設に関する議論になったきっかけは、平成22年(2010)年3月に厚生労働省の「チーム医療の推進に関する検討会」報告書において、「医師の包括的指示に基づき患者QOLの向上のため特定の医療行為を実施することができる看護師を特定看護師と呼ぶ」とされたことにあります。

同年5月に厚生労働省で「チーム医療推進会議」と「チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ」ができました。そのミツションとして、改めて看護師の業務範囲、特に診療の補助行為範囲とその中の特定看護師(仮称)が行う特定行為および特定看護師の要件をどうするのか、養成をどうするかということの検討が始まったわけです。

この検討過程において、当初は「特定看護師」の名称で制度化が検討されていたのが、業務独占・名称独占をしないということで「看護師特定能力認証制度」という名称になりました。

しかし、「認証制度」となるとまた資格に結びつくのではないかということで、「特定行為に係る看護師の研修制度」として平成25年(2013)年3月にチーム医療推進検討会議が結論を出しました。

この「特定行為に係る看護師の研修制度」は、大まかに3つの柱からなると言われています。

  1. 特定行為を決めること。
  2. 特定行為を行うために、看護師に対して厚生労働省が認めた指定研修を行うこと。
  3. 指定研修修了した看護師に対して厚生労働省が申請を受け、登録証を交付すること。

今後、これらが制度化、つまり法律(保助看法)や省令等で決められることになるわけです。

今は41の特定行為が示されているわけですが、これはあくまでもまだ今の段階での例示です。法令が通ったあとに審議会にて決定されるため、その動向にも注目が必要です。

新しい制度ができる意味

特定看護師教育にいち早く取り組んだ大分県立看護科学大学では「診療看護師」として、また東京医療保健大学等では、JNP(ジャパン・ナース・プラクティショナー)という形ですでに教育しています。

しかし、「診療看護師」を目指して養成教育を行ってきたものが「特定看護師」になり、さらに「特定行為に係る看護師の研修制度」となりまして、その範囲がずいぶん先細ってしまいました。こんな先細ったものを制度化する必要はないのでは、という意見も聞かれます。

しかし、私はとにかく制度になるということがたいへん重要だと思っています。制度化されなければ、いつまでたっても制度に基づかない形でしかできないわけですから。とはいえ、先ほどの3本柱のなかで看護師籍の登録については絶対外すことのできない条件だとも考えています。

もう一つは質の高い特定行為を行える看護師を育成するためには研修を一本化していくことがたいへん重要ではないかと思っております。

日本NP協議会としては、大学院において養成すること、国際的にも通用するNP・特定看護師をつくっていくためには、教育を標準化することが絶対に必要と思っております。

世界に通用するような大学院教育を行い、法令が通った時点で、大学院で養成した人たちを「特定看護師」と呼べるように準備をし、きっちりアイデンティファイしていこうと思っています。(以下、記事中は「特定行為に係る看護師の研修制度」における看護師を含めて「特定看護師」として記載)

特定看護師とNP(診療看護師)はどこが違うか、ということですが、特定看護師の場合は「医師の包括的指示のもとで」特定の行為を行う。

それに対して診療看護師は「医師と連携・協働して」診療を行うということになり、医師法改正等が必要になり、実現は難しい。

そういう意味では制度の下で特定看護師として活動し、国民の皆さまにも理解していただくための実績をつくっていくことではないかと思っています。

指定研修受講者の到達目標(案)

指定研修受講者の到達目標

  1. 重要な病態の変化や疾患を包括的にいち早くアセスメントする基本的な能力を身につける(疾病・臨床病態概論、臨床推論、フィジカルアセスメント、病態生理)
  2. 多様な臨床場面において必要な治療を理解し、ケアを導くための基本的な能力を身につける(疾病・臨床病態概論、臨床推論、臨床薬理学)
  3. 患者の安心に配慮しつつ、必要な特定行為を安全に実践する能力を身につける(臨床推論、フィジカルアセスメント、臨床薬理学、特定行為実践論、医療安全学)
  4. 問題解決に向けて多職種と効果的に協働する能力を身につける(医療安全学、特定行為実践論)
  5. 自らの看護実践を見直しつつ標準化する能力を身につける(特定行為実践論)

 

教育内容 学ぶべき事項

教育内容 学ぶべき事項
病態生理学 ・臨床解剖学、臨床病理学、臨床生理学を含む内容とする
臨床推論 ・症候学、臨床疫学を含む内容とする
フィジカルアセスメント ・病態生理学、身体診察・診断学(演習含む)を含む内容とする
臨床薬理学 ・薬剤学、薬理学を含む内容とする
疾病・臨床病態概論 ・主要疾患(5大疾病)の臨床診断・治療を含む内容とする
・年齢や状況に応じた臨床診断・治療(小児、高齢者、救急医学等)を含む内容とする
医療安全学 ・医療倫理、医療管理、医療安全、ケアの質保証(Quality Care Assurance)を含む内容とする
特定行為実践 ・多職種協働実践(Inter Professional Work= IPW)(他職種との事例検討などの演習を含む)を含む内容とする
・特定行為実践のための関連法規を含む内容とする
・根拠に基づいてプロトコールを作成し、実践後、プロトコールを評価し、見直すプロセスについて学ぶ内容とする
・アセスメント、仮説検証、意思決定、検査・診断過程を含む内容とする

 

「症状マネジメント」は看護師の仕事

特定看護師というのは特定行為だけをやるわけではなく、従来からの看護業務に上乗せして特定行為もできる看護師です。

患者の容体に応じてタイムリーな介入を行いつつ、「症状マネジメント」を行うのが看護師の役割だと思います。

医師は「疾病マネジメント」、要するに病気をマネジメントするわけですけれども、看護師の場合、患者さんたちの症状をマネジメントすることが極めて重要な役割です。特定行為を実施しながら、こういったことができるよ、になることが求められているのです。

ですから、制度をスタートする段階で研修等の標準化を図り一本化する、これが極めて大事だと思います。

法令が通ったら、できるだけ特定看護師の数を増やさなければ実動しないのではないか、という意見もありますが、試行事業の結果から、一施設に1人、特定看護師が入っただけで、その病院の看護はすごく変わります。看護だけではなく医療そのものが変わるという実績がすでにあります。

ですから、まず数を増やすというより、質の高い特定看護師を出していくことのほうがずっと大事ではないかと思います。そういう意味で、この制度がダブルスタンダードにならないよう努力をしていかなければならないと思います。

日本NP協議会で推進する教育内容

質の高い特定看護師を大学院で養成するために、日本NP協議会は、法令が通った段階で、一般社団法人日本NP大学院教育協議会と名称変更するよう準備を進め、すでにこの準備は整っています。きちんと大学院で教育するという姿勢を打ち出していくことにしています。

当会では特定看護師の条件を、看護師として5年以上の実践経験があること、大学院においてしっかり系統的な医学教育を受けることと、NP協議会が実施する資格認定試験に合格することとしています。

2025年を視野に入れた医療は「治す医療から、治し、支える医療に」と言われるわけですけれども、まさに特定看護師はチーム医療のキーパーソンとして活動していくことができると思います。

現在、NP協議会では大きくプライマリー領域とクリティカル領域の2つに分けて大学院教育を行っております。

プライマリー領域で在宅、クリティカル領域で救急医療とか、あるいはリスクの高い患者さんのケアというかたちでカバーするようにしておりますが、将来的には目の前の患者さんの症状マネジメントをしていけるように、また、超高齢社会において、領域を2つに分けておくのか、一つの方がいいのかどうかというのは、検討していこうと思っています。

継続教育についても昨年から実施しておりまして、国立長寿医療研究センターや、東京べイ・浦安市川医療センターのご協力をいただき、臨床医薬等の研修を行っています。

まとめ

特定看護師の活動を通して、実績を作り、それを伝えていかなければいけない。国民や患者さんにわかっていただかなければいけないので、特定看護師の役割を自ら伝える努力が必要になると思います。

もう1つは、病院でのインフォームド・コンセントにおける役割です。

患者さんが理解をして、それで同意する本当の意味でのインフォームド・コンセントができているかというと、今の医療では患者さんが自分への医療行為を理解できるところまで、医師からも看護師からも説明を受けていません。

すでに特定看護師がいる病院では、患者さんたちが「自分の受けている医療がよくわかる」という成果が出ています。本当に実効性のあるインフォームド・コンセントとは、特定看護師の導入によって始まるのではないかと期待しております。

もう1つは、特定看護師が行う看護研究が「本当に使えるエビデンス」につながるのではないかということです。看護師の業務は、療養上の世話と診療の補助です。診療の補助行為は医師の指示がなければできないので、現在の看護研究はインタビューや、アンケート調査といった限られた手法が多いように見受けられます。

特定看護師が医師の包括的指示のもとでさまざまなことができるようになると、看護研究の手法の幅が広がり「使えるエビデンス」が集積されていくのではないかと考えております。

こういったことも1つの成果ではないかと思っています。特定看護師は医師の包括的指示の下でも、とにかく実績をつくって、国民や患者さんの理解を得ていくことがたいへん重要ですので、そのための努力をしていかなければいけません。

また、これから重要となる地域包括ケアシステムのなかで、いかに特定看護師として役割を果たしていくのか、役割を明確化すること、自然災害時の災害救助で外国へ行って活躍できるためにも、国際的に通用するような特定看護師を育てていかなければいけないと思っています。

一歩先を行く特定看護師の体験談 Aさん

特定看護師を目指したきっかけは前職場で、タイムリーに患者の訴えに対応したいと思ったことです。

また、看護師の臨床経験を積むにつれて、医師から診断や治療に関わる部分の初期判断も任されることが多くなり、医学を体系的に学ぶ必要性を感じ大学院へ進学しました。

現在の職場は地域の中核病院で、病床数は451床です。3次救急医療病院の役割やドクターカーの運用を開始し、救急搬送患者数も増加しています。

大学院修了後は、当センターの統括診療部に所属し特定看護師として活動を開始しました。1年間は総合診療科、外科系診療科、救急科を4カ月ずつローテーションしました。

一年間の研修後は「自分が特定看護師としてどのように活動したいか」を考え、活動する診療科を検討しました。その結果、全身管理の勉強を継続する目的で救急科、医師が少ない診療科のうち呼吸器外科、神経内科で現在活動しています。

2年目の今、1年目よりも具体的指示から包括的指示下の活動が増えてきましたが、侵襲を伴う処置は指導医とともに行っています。

看護師の時には、患者さんに継続的に関わりたい時にも、看護単位や交代勤務のため、そばに寄り添えない事もありました。

しかし、特定看護師として患者さんの何時にも寄り添い、診療科や看護単位の垣根を越えて、継続的に関われることは患者さんやご家族からも喜ばれます。

また、看護師と診断や治療方針について情報を共有することは、患者さんへの質の高いケアの提供に繋がっていると感じています。

他職種に私の役割が周知されるまでには時間を要しました。他部署に直接足を運んだり、患者の検査に積極的に付き添ったりすることで、今では他職種に支えられ、タイムリーな連携ができるようになったと思います。

指導医だけでなく他職種の支援がなければ、患者にタイムリーな対応をすることは不可能であり、日々、周囲に支えられて活動できていることを感謝しています。

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