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転職

2015.02.21 ( Sat )

中途採用看護師の育成のための看護管理者の役割


中途採用看護師が勉強している

看護人材育成に対する医療施設の取り組みは、看護サービスの質の維持・向上だけでなく、人材確保戦略ひいては組織の重要な経営戦略になりつつあります。

そんななかで、新卒看護師と共に中途採用看護師は、人材確保に欠かすことのできない層としてその存在意義を増してきています。

看護部門では、4月採用の新卒看護師が圧倒的な主流であるため、新卒看護師とは異なる採用者は、中途採用看護師・経験者といった表現で「イレギュラー」な人材として扱われています。

そして「経験があるのだから」という理由で、即戦力としての活動が期待されます。

4月採用の新卒看護師という枠から外れてしまうため、現場適応のためのプログラムもほとんどなく、うまくやっていけるかどうかはその本人と運まかせといった状況です。

共に働く看護師を育てる方行への転換

看護にかぎらず日本全体の雇用のあり方は、1990年代から大きく形を変えてきました。

100%に近かった企業の正社員比率が70%以下に落ち込み、即戦力となる人材を派遣社員やパート従業員に切り替えることで、人件費をおさえ経営の効率化を限界まで推し進めてきています。

その結果、目先の利益と効率性だけを追いかけて、本質的な人材育成を後回しにした組織は、働く人の疲弊と組織の弱体化に陥っています。

組織に人を育てる力がなければ、底辺から組織を支える人材はやがて1人もいなくなり、組織そのものが衰退してしまうのです。

今、多くの企業は正社員や派遣社員・パート従業員といった働き方の違いを越えて、人を育てることのできる組織・人が育つ現場をどうやってつくりあげるかに苦心しています。

厳しい環境にある一般企業は「生き残るために即戦力の確保」から「共に働く人を育てる」への転換に取り組んでいます。このような転換こそ、これからの看護に欠かすことのできない組織のあり方なのです。

看護師経験年数や年齢は指導を難しくするのか

「新卒看護師とは違って経験者の指導は簡単にはいかない」、「中途採用看護師は個性や能力がさまざまで、基本的な教育スケジュールで対応できない」、「経験年数や年齢が高い場合も多く、指導そのものが難しい」中途採用看護師の育成に関しては、多くの看護現場でこのような意見が聞こえてさます。

その背景には、新卒看護師と比較して、中途採用看護師はその職務経験がばらばらで、個性が多様なので、ひとくくりに考えて指導しても決してうまくいかないという現実がうかがえます。

経験や能力が多様な中途採用看護師に対して、その個別の特性を細やかに査定して、スムーズに組織への適応をはかるには、受け入れ側の力量が問われます。

そのためには、中途採用看護師への要求を提示するばかりでなく、個人の望むライフスタイルや将来設計も含めた、仕事に対するさまざまな欲求をしっかりと知ることからスタートする必要があります。

「そんな面倒なことはできない」それなら、最初から人材育成はあきらめたほうがいいかもしれません。組織への定着は本人の意向を無視しては絶対に成立しません。

受け入れ側の要求をー方的に突きつける方式では、中途採用看護師にかぎらず、やがて多くの看護師がその組織を離れていくことになるでしょう。

中途採用看護師の特性を的確につかむ

多様な背景と価値観をもつ中途採用看護師の特性を的確につかむには、まずは既成概念にとらわれることなく間口の広い考え方で、相手の情報を把握することが必要です。

同じ中途採用看護師といっても,どれだけの看護実践能力をもっているのか、どんな専門領域に興味があるのか、単に看護に関連した情報だけでは、その人の個性をつかむことはできません。

どんなライフスタイルを大切にしたいのか、どんな風に働きたいのか、働き方についての考え方は1人ひとりまったく違うことを常に認識することが大切です。

さらに、この施設で看護師として働くことがその人の何を実現することにつながるのかを、お互いが認めあうことからスタートできるのが理想的でしょう。

仕事で自分の能力を高めながら、同時に家庭や趣味でも充実した時間を過ごしたいと考えるタイプや、仕事よりも私生活の充実をいちばん大切にしたいという価値観の人、何がしたいのかがわからず悩み続けている人、認定看護師資格取得といった明確な目標のために新しい職場を選ぶ人まで、経験を重ねた人材であればこそ、それだけ多様さは増してきます。

それぞれの個性を認め、実際の職場でそれに応える関わりを実現することが大切になるのです。

人が育つ組織をいかにして実現するか

中途採用看護師を特殊な存在にしているのは、実は、受け入れ側の先入観や高すぎる期待値だという考え方ができないでしょうか。

新卒看護師の育成に関しては、じっくりと新人を育てる環境が大切という共通認識が多くの看護現場で醸成されつつあります。

そのー方で,中途採用看護師については、即戦力としての期待も大きく、ともすれば受け入れ側の事情や要求が優先されてしまいます。

「新人は新人、中途採用はまた別」では、人材育成に関する組織の考え方に何の説得力もありません。

新卒看護師であろうが、年度の途中で入職した経験者であらうが、組織として人を育てるということには変わりはないのです。

「人を大切にする病院です」、「お互いが学びあう環境を何よりも大切にしています」そんな素晴らしいビジョンが掲げられた施設で、面接した看護部門のトップも素晴らしく魅力ある方だった。でも、実際に働く部署ではまったく違っていた。

これは、看護という領域にかぎらず、あらゆる組織でありがちな現実です。

お互いに対等な立場で、お互いを育てあう組織を現実のものとしてつくりあげることが、それだけ難しいということの証なのです。

今、多くの企業が取り組み成功している実践は、実はきわめてシンプルです。

  1. 明確なビジョンを共有する
  2. ビジョンを実現するために具体的に行動する
  3. あきらめずに繰り返しやり続ける

まとめ

すばらしいビジョンは実現するための具体的方法がなければ、逆に失望につながってしまいます。

お互いが育てあう組織を実現する具体的な方法をたどっていくと、そこには組織に所属するすべての看護師が、自分自身の行動を自ら決定して目標に向かって努力することの必要性がみえてきます。

それは専門職としての自律した姿であり、学び続けることは1人ひとりの看護師の責任です。だからこそ、相互に尊重し信頼しあえる関係を築き、学びあう環境をもつ組織をつくることが大切なのです。

最後に

中途採用看護師を受け入れる際、現場には「経験があるのだから、すぐに慣れて力を発揮してほしい」という強い期待が生じます。

しかし、異なる環境のもとでは施設のシステムやルールは当然違ってきます。たとえ経験が豊かで能カが高くても、すぐには実力を発揮できないものです。

また、中途採用看護師の多くは新卒看護師とは異なり、現場の「忙しさ」や「大変さ」を十分理解しています。

忙しいときの大変さがわかっているからこそ、多忙な状況で説明を求めたり質問をしたりすることにストレスを強く感じるのです。そんななかやっとの思いでした質問に「そんなこともわからないの」という態度で対応されたとしたら「この組織には何の期待もできない」そう判断してしまうかもしれません。

一方、受け入れる部署には、まったく余裕のない人員配置でぎりぎりの状況なのに温かい支援なんて、できるわけがないという気持ちが起こりがちです。

しかし、新しい環境で実践力を発揮してもらうためには、受け入れ側のすべての看護師の態度が最も重要な環境要因となります。新たな環境への適応は誰にとっても苦労を伴いますが、その不安や苦痛を乗り越えるためのモチべーションを維持するには、周囲の温かいサポートが必要なのです。

つまり、中途採用看護師が「私は大切にされている」「ここにいてもいいのだ」と自己肯定できるよう受け入れ側のサポート体制の明確化、そして具体的に示し、実践することがポイントとなります。

そして、中途採用看護師が周囲の支援をしっかりと感じられる雰囲気をつくることが、教育担当者の役割でありその信頼感や安心感こそが、人が自ら学ぶことの原動力になり、効果的な教育を生むと考えます。

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