がんになりにくい体づくりのための活性酸素

京都大学医学部名誉教授 和田洋巳

京都大学医学部名誉教授 和田洋巳 からすま和田クリニック

私はがん専門医として、4 0年近くにわたってがんの患者さんにお目にかかってきました。

思うことは、近年ますますがんが増えているということです。とくに、従来は珍しかった若い人のがんが増えている傾向が気になります。どうすればがんを防ぐことができるのかについてお伝えしたいと思います。

みなさんは、がんという病気に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか。自分もいつかがんに侵されるかもしれないという恐怖を持たない人はいないと思います。

詳しくは、和田洋巳のカテゴリ記事をお読みください。

健康だった人が突然がんに倒れる

がんには、こういったイメージがあるのではないでしょうか。

しかしがんは、決して突然襲ってくる病気ではありません。がんは数年、長いときは十年以上の時間をかけて大きくなるのです。実のところ、人は生きているかぎりがんになるリスクがあります。

それは避けることができないのですが、私たちはそのリスクに対して対処することは可能です。がんの発生は、目に見えない分子のレべルで起こります。

がん細胞が増殖しやすい環境とは

だから、がんができるとき、体の中で何が起こっているのかを知っておくのは非常に大切です。がんが好む体、つまりがんになりやすく、がん細胞が増殖しやすい環境とはどのようなものでしょう。

この仕組みを知ることで、がんから体を守るための正しい知識を持つことができます。臨床的にいえば、がんは慢性炎症を生じている身体に生じる病気です。炎症が起こっているときには、その箇所に大量の活性酸素が発生しています。

体を炎症状態にするのはマクロファージという免疫細胞です。マクロファージには、不要な細胞を掃除するはたらきと細胞を再修復(リモデリング)するはたらきがあるのですが、このときに活性酸素を大量に吐き出します。

この状態が「がんが好む体」です。活性酸素によって体が酸化しているのです。このとき重要なことが起こっています。マクロファージが細胞をリモデリングするとき、再修復された細胞のDNAが間違って書き換えられてしまうことがあるのです。

これこそが、「がんの芽」となる異常細胞です。リモデリングされた細胞は、マクロファージに対してさらに活性酸素を集めて、がんができやすい環境を作り出すよう促す信号を送ります。

この繰り返しを経て、最初はごく小さかったがんが、どんどん増殖して大きくなってゆくのです。掃除と修復のバランスを調節する制御性マクロファージの存在も最近注目を集めています。がん細胞ができる場となる慢性炎症状態のときに、がん細胞が大きくなるような信号がこのマクロファージ環境から発信されると考えられてきているようです。

食生活を見直す

このように見てみると、がんになりにくい体質づくりには、体を酸化させないということがきわめて大切だということが分かります。新鮮な野菜や果物などは活性酸素除去物質を含んでいます。

食生活を正しいものにすることが、がん予防のための第一歩なのです。食事を通して活性酸素除去物質を取り入れると同時に、喫煙や多量の飲酒など、活性酸素が発生しやすいライフスタイルを見直すことも重要です。

焼肉など、赤身の肉を高温で調理した料理からも活性酸素が多量に発生しているので注意が必要でしょう。がんになりにくい体づくりのためには、食事やライフスタイルを整えていく、そして自分の体がどのような状態なのかを把握しておく、の2点がポイントになります。

遺伝子検査はごく初期のがんの芽を発見することができます。それらに気をつけることで、がんを予防することができる可能性がきわめて高くなるといえるでしよう。


京都大学医学部名誉教授 和田洋巳さんの講演、本等を参考にさせて頂いています。

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