2016.04.27 ( Wed )

看護師辞めたい!命を削って働いているのに使命感が挫折する


忙しく仕事をこなす看護師

みなさん、看護師のイメージ「3K」って、ご存知ですか?「きつい」「こわい」「気が強い」。これって介護職から見た看護師のイメージなんですって。

私たち看護師は「白衣の天使」にあこがれてこの職業を選んだのに。

でも、この3Kの裏にはもうひとつの3Kがあるんです。だから、みんな精神的肉体的に参ってしまって、看護師を辞めていくか、看護職を続けていても「3K看護師」になってしまうんです。患者さんや一般の方々が知らない裏の3K ― それは、「きつい」「休暇がない」「給料が安い」。

人手不足の看護師だから苛烈な仕事で辞めたいと思ってくる

「仕事を辞めたい」―「いつも思う」20%、「ときどき思う」56%

仕事を辞めたいと「いつも思う」19.6%(21.7%)と、「ときどき思う」55.6%(57.6%)と合わせると75.2%(79.3%)で、前回より若干減少しているが、4人に3人は仕事を辞めたいと思いながら働いている。

辞めたいと「思わない」のは僅か16.8%(15.0%)である。

「いつも思う」は、職場別では、「病棟」が21.3%と、外来15.8%、訪問・在宅関係9.5%に比べて、6~12%も高い。また、勤務形態別に見ると、「日勤のみ」13.3%(14.2%)であるのに対して「3交替」21.9%(23.5%)、「2交替」19.9%(22.4%)と、それぞれ8.6ポイント、6.6ポイントも高い。ここでも病棟での夜勤交替制労働の負担が離職の要因となっていることがうかがえる。

「仕事を辞めたい」と思うこと

看護師への質問「「仕事を辞めたい」と思うことは?」

「仕事を辞めたい」と思うこと時間外労働(不払い含む)別 「いつも思う」(%)

看護師が「仕事を辞めたい」と思うこと時間外労働(不払い含む)別

看護師が辞めたくなる3Kの実態

ずいぶん以前から指摘されていることなのに、大半の現場では一向に改善される気配がない。だからみんな辞めるか、3K看護師になって図太く生きていくか、の2択しかないんです。看護師が天使でいられるのは新人のうちのほんの少しだけ。そんな、看護師が辞めたくなる3Kの実態を、ちょっとだけみなさんにお伝えしたいと思います。

理由1「きつい」

厚生労働省の調査によれば、平成24年の看護職員数は153万8千人弱。このうち看護師は約100万人、准看護師が約38万人です。そして、看護師の9割近く、准看護師の7割近くが病院かクリニックで働いています。
看護職員の就業場所

資格別看護職員の就業場所

出典:厚生労働省職業安定局「職業安定業務統計」

これもよく知られたことですが、都市部への人口集中に伴って、看護師の地域格差も開く一方です。人口10万人当たりの看護師の数は全国平均で1133人ですが、千葉、埼玉、神奈川では800人を下回っており、東京も900人程度に留まっています。都市部では人口に対する看護師の数が絶対的に不足しており、高齢者の多い地方では、高齢者の割合に対する看護師が不足していると言えるでしょう。

医療全体が人手不足

人手不足は看護師だけではありません。医師はもとより、検査技師などのコメディカルも不足しているため、どこの病院もぎりぎりの体制でチームを組んでいる状態です。昔と違って新卒医師の2年研修が義務化されてから、研修医はアルバイトができなくなり、一気に人手不足に陥りました。

そのせいで働き盛りの中堅医師の負担が激増、休みも取れないほどの激務になっています。整形外科のドクターなんか、朝7時前にはカンファレンス、その後回診をしてからコンビニのおにぎりを急いでほおばり、午前中は外来で診察、午後はオペ、夕方はまた病棟業務、さらに手術を控えた患者さん家族にムンテラ、夜9時過ぎにようやく医局に戻って書類の整理…そのまま病院で夜を過ごし、翌朝はまた6時ごろから勤務へ。いつ寝ているのかこのドクター、病院内では手術着以外でいるところを見たことがありません。でも、特別めずらしいことではないんです。

ドクターがこんなですから、看護師に対しても厳しく接することが多く、わたしたちも常にピリピリした雰囲気の中で仕事をしなければなりません。当然のことながら、師長もピリピリ、師長から怒られて先輩看護師もピリピリ、結局下っ端の若手にはけ口が向くことになります。

ドクターはすぐにカッとなって、看護師に向かって「バカ」だの「サル」だの言いたい放題、机をたたくわ、モノは投げるわ、怖くて近寄れません。師長からは「それで働いているつもりか」「給料泥棒」とまで言われ、先輩からは「私、休むから代わってね」「どうせ暇でしょ」的な扱い…。

病棟では、患者さんの大半が高齢者だから、とにかくコール、コール、コールの嵐が鳴りやまない。手が回らないからすぐに対応できず、すると今度は患者さんからクレーム。認知症も多いから夜中に大声出したり、離床センサーは鳴るわ、こっちは一晩中走り回っているのに理解されず、挙句の果てには患者の家族から「最低」だの「訴えてやる」だのって、これじゃあ「白衣の天使」でいられるわけがない!

さらに病棟ではセクハラ、パワハラが横行していて、セクハラ防止委員会なんてあってないようなもの。ドクターや師長、上司はあたりまえ、患者の中にも悪質なのがいたりします。ちょっとエッチなおじいちゃんの患者さんだと、バイタルのときに必ず空いているほうの手でおっぱいを触ろうとします。

「そんなことすると血圧が上がっちゃいますよ」なんてたしなめれば手を引っ込めるのでかわいいものですが、なかにはとんでもない患者さんもいて、看護師コールでかけつけたら、いきなりベッドの中に引っ張りこまれそうになったり、私の手をつかんで「握ってくれ」だの、ここではいえないような、えげつない卑わいなことを言い出す輩も少なくありません。「なんでこんなこといわれて我慢しなきゃならないの?」本当に辞めたくなります。

理由2 休暇がない

私のいる病棟は悲しいかな3交代制で夜勤の回数は平均すると月8日くらい。でも、これって割とふつうで中には10日以上夜勤のあるところも。2勤はいいなあ、なんて思うこともあるけど、時間が長いし人数も少ないからちょっとね。それよりもシフトの組み方が雑で、というより力関係が働いてか、夜勤からの日勤とかホントやめてほしい。

体調が悪くて「休みたい」って言っても「休みがほしければ代わりを連れてこい」とか、信じられません。超過勤務を記入すると嫌味をいわれるし、友達の結婚式で数日の有休を申請したら「欠席のいい理由になるじゃない」だって。ほかの人の話でも、妊娠中の夜勤免除はご法度、つわりなど体調不良でも「休まれたら周りが迷惑」「休みたいなら辞めろ」とか、「一人いるんだからもう子供はいらないでしょ」などなど信じがたい暴言が横行しています!

妊娠時、母性保護の支援措置―3分の1が夜勤免除なし

妊娠時の母性保護の支援措置では、「夜勤・当直免除」が65.5%(66.7%)と約3分の2あるものの、逆に約3分の1が夜勤免除をされていない。「夜勤・当直日数の軽減」は26.6%(27.1%)である。夜勤免除必要数を見込んだ人員の確保が出来ておらず、夜勤稼働人員が不足するため、夜勤免除の制度がありながら、夜勤免除を請求しづらい、申し出ても夜勤を行うことを求められるなどの状況があることが推察される。夜勤免除以外の「時間外勤務免除」9.0%(9.5%)、「時差通勤」4.8%(6.5%)、「つわり休暇」7.5%(7.8%)、通院休暇14.5%(14.3%)、「軽度な仕事への配置転換」16.6%(19.4%)は、いずれも極めて低率である。

妊娠している看護師さんがどういう職場でどのような仕事をしているのか?は、看護師は妊娠するな!勇気を出して病棟看護師のタブーを公にしよう、で解説しています。お読みになり、ご参考にしてください。

妊娠時に母性保護の支援措置を受けた項目※2010年4月以降に妊娠した方(該当するもの全て)

妊娠時の状況について※2010年4月以降に妊娠した方

切迫流産3人に1人(29.8%)、「流産」10人に1人(9.2%)

妊娠時に「順調」であったのが27.1%(22.4%)のみである。症状では「つわりかひどい」37.5%(46.1%)、「切迫流産」29.8%(34.3%)、「貧血」24.3%(33.9%)、「むくみ」22.6%(32.1%)、「出血」14.7%(23.3%)、「蛋白尿」12.2%(15.1%)、「妊娠高血圧症」が3.9%(前回「妊娠中毒症」4.9%)。「流産」は9.2%(11.2%)と約1割にのぼる。「早産」は4.2%であった。

看護師で妊娠時の状況について※2010年4月以降に妊娠した方

出典:医労連・日本医療労働組合連合会

確かに人手不足でぎりぎりの人数だから、誰かが休むと他の人の負担が大きくなるのはわかります。だからといって、上司や先輩からひどい仕打ちを受けるいわれはないはず。お互いさまなんだし、自分たちだって最初から仕事ができたわけじゃないだろうに。昔と今とどちらがひどい環境かは甲乙つけがたいと思いますしね。

看護師が被害者意識を持つように

自分が不調な時だけじゃなく、家族や子供が病気になったときとか本当につらいと思いますよ。「なぜ自分の子供ではなく他人を看病しているんだろう?、って考えたら涙が止まらなかった」そう言って憤る看護師もいます。きっと、劣悪な職場環境でつらい思いをするうちに全員が被害者意識を持ち始めて、誰かが休むと「なんであいつだけ?」って感じるようになったんじゃないかなあ。自分もそうならないように気をつけないと、あっという間に「3K看護師」の仲間入りです。

理由3 給料が安い

勤務時間後の仕事、いわゆるサービス残業は、日勤なら1時間以上は当たりまえ、夜勤明けでも30分はざらで、3回に1回は1時間以上もあります。日本医療労働組合の調査によれば、サービス残業も含めた超過労働は、過労死ラインを超える人が253人もいたそうです。しかも、看護師の約3分の2がサービス残業を課せられていて、時給を2000円に換算すると、不払い総額はなんと3億円にものぼるそうです。

1ヶ月の時間外労働―「過労死ライン」超253人

賃金不払い労働―約3分の2が不払い労働(サービス残業)
不払い労働「なし」は31.1%(30.1%)で、約3分の2が賃金の不払い労働(サービス残業)を行っている。「10時間以上」は15.6%4,443人(13.9%)、「30時間以上」は2.6%(2.3%)、「50時間以上」も0.6%(0.6%)いる。不払い労働は、改善どころか前回より増加傾向にある。本調査で、不払い労働があると回答した18,639人の不払い労働時間の合計は、158,980時間※になり、時間単価を2,000円(割り増し分を含む)円とすると不払い賃金の総額は、約3億1,800万円にのぼる。

看護師の1ヶ月の時間外労働―「過労死ライン」超253人

出典:医労連・日本医療労働組合連合会

命を削って働いているのに、残業代が支払われないブラックさ。これではやる気、モチベーションがあがるはずがない。ミスやニアミスをしたことのある看護師は全体で約85%、シフト別にみると3交代では約90%、2交代でも約86%と非常に多くなっています。

それに見合うだけの報酬がない

年齢別では経験不足の若手に多く、20代の看護師の実に91%がミス・ニアミスの経験者です。人手不足による忙しさが原因ですが、がんばって働いてもそれに見合うだけの報酬がないとなれば、やる気がでないのも致し方ありません。

看護師センターが調査を行った看護師の退職理由は1位こそ妊娠・出産ですが、2位と3位は看護師自身の健康問題よるものです。看護職は、患者さんの大切な命を預かる責任ある仕事であり、だからこそ命を削ってがんばっているのに、それが報われないどころか、「もっと働け」といわんばかりの職場環境。給料が安いのはもちろんいやですが、それよりも、自分が使命感を持って看護の仕事を頑張っているのに、きちんと評価されない現実に、身も心も疲れ果ててしまっているのが現状だと思います。

現在就業していない看護師等が直近の就業先を離職した理由(複数回答)

現在就業していない看護師等が直近の就業先を離職した理由(複数回答)

出典:「平成24年度都道府県看護師センターによる看護職員の再就業実態調査」(日本看護協会)

看護師が辞めたくなる本当の理由とは

「きつい」「休暇が取れない」「給料が安い」― 残念ながら、どこの病院の看護師も3Kから逃れられないでいるのが現実です。でも、心を病み肉体を蝕まれながらもがんばっている看護師もとても多いんです。それはなぜでしょうか。その理由は、看護師は、みんななりたくてなった職業だから。看護師にあこがれて、看護師を目指して勉強して、ようやくなったあこがれの職業だからです。

看護師は、現実のギャップが埋められずメンタルをやられてしまう

「ほかに適当な会社がなかったので就職しました」というのとは違うんですよね。だから、本心ではどんな看護師も患者さんのために役に立ちたいって、使命感を持っているものなんです。にも関わらず現実は3Kが当たり前。多くの看護師は、自分の使命感と現実のギャップが埋められず、どうにもならない無力感や挫折感にさいなまれているんです。だから、メンタルをやられてしまう。

実は、看護師が本当に辞めたくなるのは、患者さんの力になれないときなのです。
入院して不安じゃない患者さんはいません。「私が担当看護師です。よろしくお願いしますね。」って笑顔であいさつしたのに、書類を書いたり記録を整理したり、雑用が山のようで、患者さんと十分に接する時間がない。患者さんの不安を解消するどころか、忙しすぎて自分のメンタルを保つのもままならない。「私は看護師なのに、いったいなにやってるんだろ。」って思うと情けなくて泣きたくなるし、ホントに辞めたくなります。

最後に

看護学校で初めての病院実習をする際に行われる”戴帽式”というのがあります。看護帽、いわゆる看護師キャップは、看護婦の名称が看護師となって男女平等の職業と認められたため、性差別につながるとして、あるいは衛生面を考慮してすでに廃止されています。しかし、看護師キャップはナイチンゲールの遺志を継ぐ看護師の「博愛」「責任」「清潔」の象徴であり、戴帽式は看護学校の学生が看護師として生きていくことを再確認し、その責任の重さを自覚するための儀式です。

クリミア戦争に看護師として従事したナイチンゲールの名を冠したナイチンゲール看護学校。ここの学生にナイチンゲールが送ったとされる手紙には、「どれほどの訓練を積んだとしても、自分で感じ取り、考えることができなければ、どのような訓練も無駄となるでしょう」とあるそうです。

患者さんと相対するのは看護師自身であり、看護師が患者さんのサインに気がつかなければ、そしてそのサインの持つ意味を自分で考えることができなければ、看護師としての存在意義はありません。そう伝えたナイチンゲールが看護職に従事したのはクリミア戦争時の2年間だけです。なぜなら彼女は、クリミア戦争終結の翌年に心臓発作で倒れてからというもの、慢性疲労症候群の症状に悩まされ続け、亡くなるまでの50年間をほとんどベッドの上で過ごさざるを得なかったのですから。

看護師はその始めから、かように過酷な職業であったということなのでしょうか。なんだか身につまされます。それでは、最後に「愛知県立総合看護専門学校」戴帽式での誓いのことばをご紹介したいと思います。

明日のナイチンゲールに幸多からんことを。


この記事に使用している画像は、がんばれ!!小さき生命(いのち)たちよの写真を引用させて頂いています。

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