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2016.04.26 ( Tue )

看護師の仕事に満足感を!離職率を減らし看護専門職へ


夢を持つ新人看護師

一般の大学生と比べて、将来看護職に進むという方向性が明確であるはずの看護系大学生にも、多様な価値観があるようである。

たとえば、看護学生の中には経験がないにもかかわらず、メディアや教科書で学んだ知識で、「将来訪問看護ステーションを経営したい」「ホスピスに進みたい」「発展途上国で海外青年協力隊員として働きたい」「アメリカで看護師になりたい」といった将来設計を抱いている者が少なくない。

看護系大学生の多様な価値感

学生たちの中にも、1年間アメリカで語学研修をしてから就職を決めようとする者、早く訪問看護関係の起業家になりたくて新入時代からそのための専門的な教育を受けられる病院を選んで就職する者、4年制大学を卒業して一般企業に就職したが、知人や家族の闘病生活を経験して看護系大学に入り直した者など、 さまざまな者がいた。

このように、個人の生き方や価値観が多様化するなかで、人生に対する満足感が重要視されてきている。自分の人生を主体的にデザインし、 自分で計画に乗せていける看護師も増えてはいるが、一方ではまだまだ組織に依存している看護師も多い。

そもそも、 自分の人生をデザインしたり、キャリアを選択したりする「自己決定」なる習慣は、日本の今までの雇用形態には馴染まなかったからである。

働きがいを求めての就業選択

失われた10年(大卒者の就職氷河期)からはいったんもちなおした日本経済であるが、2008年末より、アメリカ発の世界同時不況のあおりを受け、企業は大量解雇を急増させている。

全産業と看護職員の離職率の推移

全産業と看護職員の離職率の推移

出典:厚生労働省 新人看護職員研修の現状について

昨今の失業率は4.1%(2009年1月現在)であり、 この先は上昇が予測されるが、 この高い失業率の中核を成しているのが若者と中高年層である。

新採用者の1年以内の離職率は、厚生労働省職業安定局の集計「新規学卒就職者の在職期間別離職率の推移」によると12.9%(2007年度)であった。

また離職理由は仕事内容や労働条件が合わないとするもので7割を超える。

また、中高年層の失業率の高さは、 グローバリゼーションや情報化、技術の進歩に伴い、今や終身雇用の雇用体系のなかで経年的に培ってきた中高年層の能力と、企業が求める能力との間にミスマッチを生じてきていることが原因である。

したがって企業はリストラクチャリングという名目のもと、中高年層の解雇を推し進めてきた。

厚生労働省 新卒看護職員の職場定着を困難にしている要因

新卒看護職員の職場定着を困難にしている要因

出典:厚生労働省 新人看護職員研修の現状について

また、もう一方の若年層の失業率の高さは、自らが進んで退職した者や、就職をせずフリーターという状態に自らを置いているモラトリアム世代の存在が原因であったが、最近では大企業の大量解雇のなかで働きたくても働けないという状況が生まれ、それが原因になるとともに、「格差」と「貧困」を生む大きな社会問題ともなっている。

看護師は就職3年目が離職、転職の分岐点

看護師の世界においては、産業界のように就職して1年以内に見切りをつけて辞めていく者は多くはないが、就職3年目が退職に踏み切るかこのまま続けるかの分岐点になるようである。退職理由も産業界のそれとは異なり、表向きは結婚や他の職場への就職などが多いようである。

しかし、実際は仕事への不満や職場の人間関係に悩んだ結果であったり、奨学金の返済のめどがつき親元に帰る、専門看護師をめざして進学をする、などの理由が多いと聞く。

組織には、従業員のワークライフバランスや生涯学習ニーズヘの対応が迫られているといえる。

新人看護師の離職の課題

新人の離職の実態やその原因については、基礎教育で習得した技術内容と、採用されて求められる実際の能力には大きなギャップがあり、それがリアリテイショックをもたらしていることを確認しておきたい。

臨床では、プリセプターシップ制度や新人研修制度の見直し、専任の教育指導担当者の設置など、既に改善・改革に努めている施設は多い。新人看護師対策は、看護基礎教育側と臨床施設側の十分な連携や協働のもとで検討される時代が来ている。

看護師の看護基礎教育の4年制化

さらには日本看護協会が政策提言を行っているように、看護基礎教育の4年制化や卒後臨床研修制度の創設などは、看護界が全体で検討すべき課題でもある。

しかし、そういう制度的な転換を視野に入れながら、臨床現場では地道な努力を引き続き重ねて行く必要がある。たとえば、新採用時のオリエンテーションでは、病院看護部が掲げるキャリア開発の仕組みを病院の理念や方針とともに述べる。

上司との面接では、単年度の新人としての成長のみならず、将来設計なども上司は聞いておく。さらには、厚生労働省が示した1年目看護師の研修モデルに沿って、所属先のOJTと併せて集合教育で定期的なフォローアップをする。

リアリティショックの緩和には、 プリセプターシップの活用やメンターの存在なども必要である。

なお、愛知県立看護大学(当時)の卒業生の弁によると、集合教育で定期的に新人同士の悩みや課題を話し合う機会をつくってもらうと、「自分だけ
の問題ではなくみんなが共有して抱えている問題だ」と思え、それだけで連帯感が持てやる気につながった、 という報告が多い。

スペシヤリストの登場とジェネラリストの卓越性

医療の高度化・専門化・多様化に伴い、看護職は「専門職」であることが社会的要請として求められるようになったが、そのための整備は整いつつある。

表1は、看護提供者である「看護専門職」を、「スペシャリスト」と「ジェネラリスト」に分類したものである。スペシャリストとは、専門看護師、認定看護師など、特定の領域で実践能力を発揮する看護師のことで、 まだ人数は少ない。

ジェネラリストとは、特定の領域をめざすのではなく、従事した領域で質の高い看護サービスの提供を志向する看護職のことで、看護師の大半がここに該当する。

看護専門職:スペシヤリストとジェネラリストの概念の整理

看護専門職:スペシヤリストとジェネラリストの概念の整理

キャリア開発を考えて行くうえでは、スペシャリスト、 ジェネラリストの双方に配慮をしなければならない。しかし、看護師の看護実践能力を段階別に表したクリニカル・ラダーには、両者を明確に区分しているもの、あるいは双方を内包して作成されたものなどがあり、病院によって考え方はさまざまで法則性はない。

たとえば、 ジェネラリストを、新人を含め中堅レベルまでとし、エキスパートレベルにはスペシャリストの看護師と看護管理職が属するように定めている病院もある。

あるいは、エキスパートを、ジェネラリストのうち卓越した実践能力を有する者や将来管理者をめざす主任とする病院、 さらにはスペシャリストをすべて含むとする病院もある。

その上に、複線型人事でこれら3つの領域がともに職務遂行能力を昇進させてゆく仕組みを持つ病院もある。

多くの病院では、ジェネラリストから管理職へ昇進する道はあるが、スペシャリストの位置づけがさまざまである。処遇も配置も統一されたものはなく試行錯誤している様子が伺える。これからは、スペシャリストやジェネラリストのうち、卓越した実践能力を持つ者への処遇制度を完備して行かなくてはならない。

なお、筑波メディカルセンターは、早くからクリニカル・ラダーを賃金処遇とリンクさせて活用してきた組織であるが、施設全体が早くから賃金処遇制度を模索してきた組織でもある。

まとめ

ジェネラリストもスペシャリストも管理者も、すべての看護師がクリニカル・ラダーでポジショニングされ、 さらにそれぞれのレベルでなすべき教育研修課題や組織的役割が明示されていることは興味深い。


●引用文献
1)井部俊子・中西睦子監修:看護管理学習テキスト1看護管理概説、 日本看護協会出版会、P77、2003.
2)栗原誠一郎・上野佐保:病院における人材マネジメントのあり方、U]Institutc lREPORT、10(4)、p.7-16、2005.
●参考文献
1)木村憲洋・医療現場を支援する委員会編著:医療現場のための病院経営のしくみ、日本医療企画.2008.
2)日本看護協会編:平成16年版看護白書、 日本看護協会出版会、2004.
3)日本看護協会編:平成19年版看護白書、日本看護協会出版会、2007.
4)山下美智子:人的資源管理に取り組む管理者が直面する課題、看護展望.30(2)、2005.
5)総務省:労働力調査平成21年1月分(基本集計)結果の概要、2009.
6)田原啓一他:採用形態が新卒3年以内離職率に与える影響、ISFJ政策フォーラム、P8‐ 9、2007

※この記事の使用している画像は、碧南市民病院看護師募集から引用させて頂いています。

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