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転職

2015.03.03 ( Tue )

転職する看護師が知るべき、中途採用看護師の採用と教育の基本的な手順


中途採用看護師が教育する立場になる日

中途採用看護師を教育する役割にあたっては、施設のやり方を教育することではありません。

看護師教育者中心の思考から脱却し中途採用した看護師に自主的に学習する意識を相互に持つことがこれからの主流になります。

看護師は専門職業人としてとどまらず、本人が自ら学び、知識や技術を修得し成長することをいかに支援するかにあるのだといえます。

この考えに立ってみると、新卒看護師であろうが、中途採用看護師であろうが「何を教えるか」から「どのように学習を支援するか」への発想の転換が必須になります。

中途採用看護師の指導において必要な基本機能

看護管理者や教育担当者は、実践現場における中途採用看護師のさまざまな変化や学習のレべルにより、その人の成長に必要な支援を与えることを基本的役割としています。

その役割を遂行するには,中途採用看護師の状況に応じて、以下のような機能を的確に提供することが必要となります。

ガイドとしての提供

中途採用看護師が遭遇する出来事に対して、さまざまな側面から「ガイド役」として案内することです。
道に迷わないように目印やポイントを示していく、というイメージだといえるでしよう。つまり、出会う環境にどのように向き合うかという環境に対する支援がこれに該当します。

たとえば、施設の年間スケジュールや1日の仕事の流れなど、これから中途採用看護師が遭遇するであろう予備的情報を、事前にわかりやすく提供することがこの機能の重要な側面です。

組織に所属していると、もうすでにわかりきっていることも、中途採用看護師にとっては不明なことは多々あります。できるかぎり、初めてこの施設の一員となる中途採用看護師の目線で情報を提供できると、信頼度が高まります。

ケア提供者としての機能

中途採用看護師の具体的な世話をするという機能です。必要なものを提供し、安全で安心できる環境を整えるというプロセスがこれに該当します。

たとえば、私物はどのロッカーに入れるのかをあらかじめきちんとオリエンテーションします。ロッカーは前もって確保し、きれいにしておくことが大切です。食事や休憩には、どのタイミングで入るのかを知らせておき実際に声をかけます。

このようなことは指導項目とはいえませんが、配属されて間もない時期には、緊張で不安定な状態の中途採用看護師にとって、とくにこの具体的なケアの提供は欠かせないサポートになります。

コーチングの提供

承認、質問、フィードバックなどを通じて相手の自発的な行動と能力を引き出し強化していくことをいいます。ティーチングとは異なり、コーチングは、自らが答えを導き出すプロセスを支援するということになります。

コーチングのスキルとしては、承認やアクティブリスニング(傾聴)などが、実践の指導場面でもとくに有用なスキルとして注目されています。

中途採用看護師が新しい環境に適応し、いきいきと行動するには「私はこの組織に存在する価値がある」と自分で自分を認めることができることが大前提です。そのために、看護管理者や教育担当者は、相手のそのままの姿を認めて承認のスキルを実践することが重要です。

その具体的なポイントとしては,

  1. 事実を伝える
  2. 気持ちをそのまま伝える
  3. 存在に気づいていることを伝える
  4. どこが良かったかを具体的にほめる
  5. 必要時には遠慮なく叱る
  6. 相手が気づくようにわかりゃすく表現する
  7. アクティブリスニング(傾聴)

などがあります。

「ほめて育てる」ことを重視するあまり、とにかくほめるというかかわり方に過度に関心が集中した時期もありましたが、現在はさまざまな場面で相手を承認する具体的なスキルの重要性が強調されています。

また、多忙な部署ではオリエンテーションや指導が先にたち、中途採用看護師の話に耳を傾ける時間は、意識しなければ確保できないと思われます。アクティブリスニングの相手に伝える承認のメッセージは非常に強く、相手に「短い時問でも一生懸命聴いもらえている」と思わせることができます。

この聴き方を意識して自身のコミュニケーションのやり方に取り入れることは、有効な指導スキルとなります。

ティーチングの機能

指示や助言によって、相手の能力獲得を支援するプロセスをいいます。コーチングは相手が自ら答えを見つけるという側面が強調されるのに対して、ティーチングはより具体的に望ましい答えを与えることだと考えることができます。

中途採用看護師は多くの場合、看護の実践経験をもっているので、経験から学ぶ際の自分自身の学習スタイルがある程度確立されている人が多いことが予想されます。そのため中途採用看護師の学習スタイルに合わせた的確で柔軟なティーチングが重要になります。

学習スタイルとは、たとえば何か新しいやり方を学ばなければならないときに「説明書を読む」「とりあえず使ってみる」「ほかの人に使い方を見せてもらう」といった具合に、視覚、聴覚、身体感覚などを使ったその人の学び方のスタイルのことをさします。

現場でのさまざまなティーチング場面で、その効果を最大限に引き出すには、計画、実施、評価というプロセス管理も大切ですが、このような学習スタイルのように具体的なやり方を工夫することが欠かせません。

スポンサーとしての機能

その人が最高のパフォーマンスを行えるように、相手の個性を見極め、それを承認し発展させるプロセスがスポンサーシップです。

スポンサーは、相手に強い関心をもち、その人の内部にさまざまな可能性が秘められていると信じることが重要になります。そのためには、中途採用看護師がどのような個性をもち、どのような強みをもっているのか、さらにどんな思いでこの施設に就職を希望したのかなど、採用担当者は配属先の部署に伝えることも必要です。

さらに、中途採用看護師の能力を引き出すための面接を定期的に行う、中途採用看護師が出席するのがよいと判断した研修会や学会、セミナーなどの情報を提供するなど、さまざまな支援によって環境を調整しあらゆる資源を提供する人がスポンサーなのです。

受け入れ側の部署の「育てる」意識を浸透させる

これまで述べてきた中途採用看護師教育の基本的な考え方を、実際に行動に移し影響をもたらすのは、看護管理者や教育担当者だけでなく、主に中途採用看護師に直接かかわる受け入れ側の看護師です。
受け入れ側の看護師が、中途採用看護師に対して適切なかかわり方を統一して実践できるためには、どのように中途採用看護師にかかわってもらいたいのか、どのように指導してもらいたいのかのビジョンを、看護管理者がていねいに受け入れ側の看護師に説明することが第一歩です。

ビジョンとしては

  1. 具体的であること
  2. 簡潔であること
  3. 方向性を示していること
  4. 魅力的であること
  5. 個性的であること

が大切なポイントとして述べられています。

このビジョンを実際に動かすためには看護管理者が、

  1. 講義する
  2. ポスターに標語として掲示する
  3. カンファレンスや申し送りなどで話す
  4. 立ち話で教育担当者に話す

など形を変えさまざまな表現や、行動でもって受け入れ側の看護師に何度も説いていくことが重要です。

受け入れ側の看護師は中途採用看護師に関われる場を設ける

看護管理者の考えを看護師に浸透させていくには、時間が必要です。一朝一タではビジョンについて看護師が納得して行動化することは不可能です。

また「こういうかかわり方をすべきです」と指導方法を押しつけると、逆に受け入れ側の看護師は拒否反応を示す場合があります。自分たちの部署では中途採用看護師にどのようにかかわるのかについて、受け入れ側の看護師全員で検討し決断することも大切なポイントです。

教育担当者は、受け入れ側の看護師が部署の状況に応じて、どのように中途採用看護師にかかわるのかを自己決定できるように場を設定することが重要です。

 

どのようにかかわってもらいたいのかを受け入れ側の看護師に丁寧かつ具体的に看護管理者が解説する

まとめ

現場の教育担当者の方に話を聞いてみると、プリセプターや教育担当の役割を任命された際に、とてもうれしいという思いをもった看護師はあまり多くないようです。逆に「看護教員など人を教育した経験がないので不安だ」「部署全体でかかわってくれているとはいえ、教育担当者としてのプレッシャーはかなり大きい」「思ったように進まないジレンマが常にある」との声が多く聞かれます。

「教えなければ」という意気込みや不安から脱却する

小中学校や看護基礎教育において「教育者中心」で学んできた私たちは、教育担当者というだけで「あれも教えなきゃいけない」「医療事故が起こったら私の責任になるから、ちゃんと教えてみていなくちゃ」と自分1人で重荷を背負ってしまいがちです。

教育担当者として正しい知識を正確に伝えることは大切ですが「教育担当者としてどうあるべきか」よりも「中途採用看護師はどんな知識や経験をもっていて、何を伸ばしてあげればいいのか、何を支援してあげるともっと成長するのか」といった中途採用看護師の希望や望みをアセスメントすることに力を注いだほうが、教育効果ははるかに高いはずです。

新卒看護師教育で多く用いられているプリセプターシップは、臨床現場において、一対一の関係を基本として、看護学生や新卒看護師のすぐ近くで、経験のある看護師が支援者として、またロールモデルとして活動するお互いの学びの方法と定義することができます。

教育担当者は「知識や技術をとにかく教える」のではなく、この部署にちょっと先に就職した「経験のある看護師として」中途採用看護師をサポートし「支援者として、またロールモデルとして」活動しお互いに学びあうことが役割になるのです。

中途採用看護師から質問されたことに対して、知らないことがあったらどうしようという不安や間違いをおそれる必要はありません。知らないことをどう調べるか、失敗や問題にどう対処するかを中途採用看護師に見せることが指導の意義があるのです。

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