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2015.12.12 ( Sat )

密着看護師24時!「看護師夜勤」編


夜勤する看護師

小さな子供がいる看護師や医師は、夜勤時に子供の預け先に困ります。公立の保育所では、延長があっても午後7時までです。日勤でも夜7時~9時まで残業がある看護師は預けにくいのが現状です。

民間の保育所なら、夜10時までの延長保育、24時間対応の認可外保育所はあるものの、どの地域にもあるとは限らず、保育料の負担も大きい。そんな中、子育て中の看護師や医師を支えているのは、院内保育所の存在です。

看護師の夜勤勤務、院内保育所の状態を知れば、看護師やその子供の将来が思いやられる現状をご理解できるはずです。なぜなら、世の中には人の命に関わる仕事が、想像する以上に苛烈で緊張をしいられることを知ってもらいたいからです。

この記事はすべて現実に、常に、毎日行われていることです。フィクションではありません。

まずは、過去に経験した夜勤勤務での出来事を聞いてください。

 夜勤24時の出来事

当時、私の施設では、副看護師長も含む看護師長は管理当直を担当しますが、それは夜間救急外来勤務を兼ねていました。救急外来では準夜・深夜勤務をとおした勤務となり、外来所属看護師と2名で担当していました。

その準夜勤務帯での出来事でした。

患者はBさん。82歳男性で肺がん・骨転移にて入院加療中でした。24時頃でした。私が所持する管理当直者用の院内携帯電話に患者対応依頼が入りました。

病棟の準夜勤看護師からのコールでした。

「Bさんの不穏状態が強く、付き添いの妻にも暴力を振るう状況です。抑制が必要と思われますので協力をお願いします」と。

病室へ到着すると、看護師2名で体幹・四肢を抑制中でした。私も、抑制することに協力しました。

Bさんは「何なんだよこれは。俺が何をした。家に帰りたいだけなんだよ」と言い、その他にも、看護師に対する暴言等も聞かれる状況でした。

付き添いをしている妻に対しても同様です。抑制を終え、準夜勤看護師はその場を去りましたが、私は、少しの間その場にいることにしました。抑制の必要性をBさんに説こうとの想いからです。

何でこのようなことになったのか、Bさんに理解を得ようとの説得が始まりました。

私「Bさんは、どうしてこのようなことになってしまつたのでしょうか」

Bさん「そんなこと知るか」

私「Bさんが、暴れて仕方なくこのようになったのですよ。奥さんにも暴力を振るったでしよう、だからですよ」

Bさん「俺は、やっていない」

私「でも、それが事実なんです。」

Bさん「うるせぇな、そんなことねぇよ」

このような問答がしばらくつづきましたが、そのうちに話は変わり、戦争に行った経験の話が始まりました。

少し混乱した内容もやみましたが、私も父親から戦争に行った話を聞かされていたため、うなずきながら、時折合いの手を入れる程度ではありましたが、話を合わせることができました。

でもそこで、ただ一つ心掛けたのは、決してBさんの話を否定しないで聴くことでした。話は次第に世間話に変化していきました。

Bさんの住所が私の自宅の近くでもあったので、私も自分のことを織り交ぜながら話を始めていました。

その辺りでしょうか、Bさんの攻撃的な言葉が、次第に聞かれなくなり、反対に切なく訴えるような口調に変化したように私は聞こえてきました。

「この人、話せばわかってくれる人じゃないか?」

「この人、このままでいいのか?抑制を外したほうがいいのでは?」

思い起こせば、会話の中でこのような想いが私の中で込み上げてくることを感じていました。

Bさんは「お前の言うこともわかるよ」「これ(抑制)、外してくれよ」「俺が何をした」「家に帰りたいだけだよ」

これまでとは違った、声のトーンが下がった言葉が私には深く印象に残っています。

 看護師、医師の働き方に合わせた院内保育所

看護師、医師は「常勤では勤務が過酷。妊娠する暇がないから非常勤の間に子供を作る」という傾向があります。

すると、パート扱いとなるため、公立の保育所に入るための優先順位が低くなり、なかなか子供を預けることができなくなる、という矛盾に陥ります。

院内保育所

その問題を解消するのが、院内保育所です。職場と隣接しているので、母乳で育てたい看護師にも好都合です、院内保育は24時間体制が必要ですが、看護師の働き方(夜勤、準夜勤等のシフト)の問題が、院内保育所で働く保育士や子供自身にも及んでいます。

看護師の残業に保育士は引きずられる

院内保育所は、看護師の業務が終わるまで、保育士も常に残業をすることになる。24時間保育のために、週に2日は夜勤。

しかし、保育士の人数は変わらないので、夜勤のために日中の保育士が抜け、一人あたりの業務は増します。毎日朝7時~8時に出勤、夜8時~10時まで残業している状態です。これでは保育士だってバーンアウトしてしまう。

子供もクマをつくる

「母親が月に12回も交替夜勤があって、そのたびに子供が預けられる。子供なのに目の下にクマを作っているんです。親の働き方を変えることはできないのでしょうか」

とある院内保育所の保育士が嘆いていました。保育所に1日10時間もいる子もいる。乳幼児が毎日10時間も保育所にいるのは異常です。親が忙しければ子供だって睡眠不足になります。

親の仕事がハードだと、子供に影響が出るのです

24時間預けることのできる院内保育所の設置も重要ですが、小さな子供のいる看護師や医師は、一段落するまで日勤で済ませられるようにしたり、短時間正職員制度を導入するなど、職場で対応できる工夫をしてワークライフバランスを図ることが先ではないでしょうか。

24時間保育があるから、普通に働きなさいということではないはずです。

保育士も劣悪な待遇

保育所の民間板鵜をきっかけに、保育士の待遇が劣悪になる傾向にあります。異常なまでの人件費削減で低賃金、夜勤手当がほとんど出ないなどの労働上条件の悪化、人員に余裕がなく、配慮の必要な子の受け入れができない、などの問題が出ています。

病院の中では、院内保育士の存在は少数なので、その声は届きにくい。また、看護師や医師の働き方を根本から見直さなければ、院内保育所自体の存在意義が失われ、結局「子どものために辞める」となってしまう。

マタハラ

一般企業でも、マタハラがあるようですが、病院と言う職場では、長年「看護師は夜勤が当たり前」という慣習があり、妊娠中や子育て中に「夜勤ができないなら正職員を辞めてパートで働け」ということが横行していました。

これは明らかに、男女雇用機会均等法で禁止されている、妊娠や出産による不利益変更に当たります。

医療現場の多くでは、労働基準法に触れる働き方が、当たり前のように行われているのです。病院にきちんとした人事部が無いケースもあります。労働基準法や労働安全衛生法の法令順守と言う概念すらないこともあり得ます。

民間企業では、結婚・妊娠などを理由にした退職勧奨はほぼなくなりつつあります。しかし、医療の現場ではどうでしょうか。

新橋のA病院の独自の取り組み

人材が定着するよう、独自に夜勤負担などの軽減や、離職防止にむけた努力をしている新橋のA病院は、職員の勤続年数が長く、ベテラン揃いです。平均勤続年数は約20年。

夜勤はだいたい月に7回程度、看護部長が毎月夜勤回数をチェックして、必要人員のデータをとり、注意しています。

労使協定で、50歳以上の看護師の夜勤回数は月7回以内、妊産婦や子育て期の看護師は、夜勤の回数を減らしたり職場異動をして、夜勤負担の軽減に努力しています。

夜勤制限のある看護師は、1病棟あたり妊産婦を含め、常時4~5人います。それを前提にして、患者数と「10対1」の配置基準を照らしあわせ、人員配置をひねり出している。

夜勤手当を高くすることで、夜勤をになう看護師に見返りをつける。勤務シフトは、2連休を入れるように工夫、休みなどはほぼ希望通りにしています。

くつろげるように、休憩室に手日や畳を入れたりといった、ちょっとしたことでも、働く環境は変わります。休日に会議が重なってしまった時は、出席しなくても良く、ワークバランスを図っています。

中堅にしわ寄せが行きやすい新人教育も、年間のプログラムを汲み、ケアの質を高めるため、研修への参加を積極的に推進して、出張扱いとしています。

このような取り組みで、新橋A病院の離職率は平均より低く、勤続年数の長いベテラン看護師が活躍しています。

出産・子育て時期の看護師への支援

子育てで辞めてしまわず、長く勤めてベテランとなる看護師を増やすためにも、支援が必要なのは、看護師が最も辞め安い、出産・子育ての時期です。

夜勤勤務の見直しや、院内保育所の充実など、看護師が結婚や出産、子育てをしながら働きやすい労働環境を整備することが望まれます。さらに驚くことに日本医労連の「看護職員の労働実態調査」では、看護職の流産が年々増加している。これについては、看護師は妊娠するな!勇気を出して病棟看護師のタブーを公にしよう、で体験と調査で詳しく解説しています。

看護師への国からの大きい支援を是非とも願いたいものです。

中堅の夜勤回数増につながる新人教育の問題点

新橋のA病院のように、新人教育も年間のプログラムとして組み込むことで、中堅に業務のしわ寄せが行くことを避けられると良いのですが…

社会人として慣れないうちに、無理に夜勤を入れると、新人ナースはすぐに辞めてしまう。

新人教育が大きな問題となり、苦労を知らず、しかると辞めてしまうので「新人は叱らず、手取り足取り教える」ことで、中堅看護師の負担が増すばかり。

以前は入職1か月程度で新人も夜勤をこなしていましたが、現在は、半年は夜勤に入れないようにしています。

その結果4月から9月頃までは夜勤人員が少ないため、夜勤の回数が増えます。9月以降、新人が夜勤に組み込まれても、しばらくは戦力にならないので、受け持ちや担当を決められません。

担当する患者数も、中堅が重症患者7人~8人なのに比べ、新人は軽症患者を4人~6人です。これでは処置に追われ、患者さんとゆっくりかかわる時間が持てず、不満が蓄積するばかりです。治療に対する患者さんの心の準備を心がけますが、最低限の看護をするだけで手一杯なのが現状です。

まとめ

子育て期の看護師にとって、院内保育所はありがたい施設です。しかし、そこで働く保育士も、子供を預ける看護師も、夜勤の過酷な労働を強いられています。

1日10時間以上、毎日のように保育所にいる子供も、心身ともに疲れてしまいます。

新橋のA病院のように、工夫次第で夜勤負担の軽減は可能です。看護師も長く務めることができ、経験を積んでベテランとして活躍することができます。

より多くの病院が、特に妊娠中、子育て期の看護師の労働環境の整備を進めてほしいものです。

早く元気になって退院してください

 

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